大判例

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名古屋地方裁判所 昭和44年(ワ)3463号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、本件事故発生の事実は、その態様の点を除いて、当事者間に争いがなく、<証拠略>を総合すれば、本件事故の状況および過失につき次の事実が認められる。

(一) 本件事故現場は、名古屋市千種区仲田本通三丁目四五番地先の南北を結ぶ道路と東西に通ずる幅員5.5メートルの道路がほぼ直角に交差する信号機の設置のない交通整理の行われていない交差点である。南北道路は車道幅員七メートルの平坦な舗装道路で、その両側に幅員各3.5メートルの歩道が設けられ、歩車道の境には東西道路との交差部分を除き樹木が植えられている。現場付近は交通ひんぱんな市街地であり、南北道路は時速四〇キロメートルに制限されている。

(二) 被告宮成は昭和四四年六月一二日午前二時三〇分頃、乗客である原告を乗せて営業用普通乗用自動車(タクシー)を運転し、前記南北道路を時速約五〇キロメートルで北進した。そして本件交差点の一〇〇メートル程手前(南方)にさしかかつたところで、原告美枝子から本件交差点を右へ曲るように指示された。そこで同被告は右折の合図を出し、減速しながら道路中央寄りを進行し、徐行態勢でやや右折しかけたところ、本件の追突事故に遭遇した。本件タクシーは衝突地点から約2.8メートル進んで停止した。追突車は普通貨物自動車(トヨタパブリカバン)で、前記タクシーの右後方(道路中央ないしそのやや右寄り)を北進追走して、その左前部をタクシーの右後部(ナンバープレートの右側から、右テールランプにかけて)に衝突させ、運転者は追突車を現場に遺棄して逃走した。以上の事実が認められ<証拠説明略>。

二、以上認定の事実によれば、本件事故は前記普通貨物自動車の運転者の一方的な前方不注視等の過失により惹起されたものと認められる。原告らは被告宮成が右折するに際し、後方を十分確認しなかつた過失がある旨主張するが、既に右折の合図を出して道路中央寄りを減速進行していた被告宮成にとり、自車の後方から来る車輛は前方からの対向車とは異り、自車を避けてその左側を通過するものと信頼するのが当然であり、前記認定の同被告の運転態度、右折状況からすれば、同被告は右の信頼を前提とした注意は払つたものと推認される。

(西川力一 藤井俊彦 柄多貞介)

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